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<反米デモ>引き金の映画製作に謎深まる 監督の正体不明

【ワシントン白戸圭一】イスラム世界における反米デモの引き金となった米映画「イノセンス?オブ?ムスリムズ(イスラム教徒の無邪気さ)」の製作過程を巡る謎が深まっている。監督の正体すら判然とせず、米メディアの報道が過熱している。

 今年7月、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に登場した約14分のダイジェスト版映像は「サム?バシル」の名で投稿された。今月11日に米紙ウォールストリート?ジャーナルの電話取材に応じた「サム?バシル」は「イスラエル生まれで、米カリフォルニア州在住の不動産業者」と自己紹介し、「100人のユダヤ人から500万ドルの寄付を集めて映画を監督?製作した」と主張した。

 だが、イスラエル外務省報道官は米紙ニューヨーク?タイムズに「彼を知る者は誰もいない」と述べ、イスラエルと映画の関係を全面否定。多くの米メディアは「サム?バシル」の自己紹介の信ぴょう性を疑問視し、監督の正体を巡る報道合戦に拍車がかかった。

 AP通信は12日、映画製作の中心になったとされるカリフォルニア州在住の男性に取材し、男性が「ナコウラ?バスリー?ナコウラ」という55歳のキリスト教コプト教徒であることを特定したと報じた。

 この男性は取材に「自分ではない」と否定したが、AP通信は「米捜査当局がこの男性を映画の監督と特定した」と報道。男性が詐欺罪などで司法当局の保護観察中で、過去に何度も脱税などの問題を起こしたと伝えた。

 映画を巡っては、シリア、イラク、トルコ、パキスタン、イラン、エジプト、米国の出身者ら15人ほどが製作や宣伝に関わったとの証言もある。

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