さらばいとしき東洋の国よ？去る米国、文化の本質は
G?JOEⅡはかく語りき
世界都市?上海。世界に名だたる資本都市として成長を遂げた上海では、驚くべき速度と規模で毛先生の描かれた紙切れが、右往左往しております。しかし、あるいは驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、生活水準にはかなり幅があるのです。ここでは、大卒でも月額3000元（約26000円）程度の給与が標準的なのです。
それでも、苦渋です。中国に進出した日本企業は軒並み苦渋しています。中国人労働者の生活水準が向上し、それに伴って賃金も向上しているのです。4月1日、上海市の最低賃金は1450元（約17400円）に引き上げられました。これまでに比べ13％超という上昇率です。単純計算で1割以上も利益が下がる事になりますから、これは企業にとっては大ダメージです。
それだけではありません。増値税、原油、材料費などもいよいよ上昇の一途を辿っています。それに中国は、「国とのお付き合い」にも気を配らねばならぬ、なかなか難しい場所。2割超の減益を強いられながら、文化の違いに苦しむ中国進出企業は、そろそろ新たな選択肢を模索している最中なのかもしません。米国企業は、その転換の決断をし始めているようです。
この度、ボストン?コンサルティング?グループ（BCG）が発表した調査結果によると、「中国からの製造拠点の移転を計画、または積極的に検討している」との回答が全体37％となりました。売上高100億ドル（約8150億円）以上の企業に限りますと、同数値は48％、約半分を示しています。主に人件費上昇をにらんだ、近未来経営スタイルの戦略がうかがえます。
製造拠点を海外から国内に戻す「リショアリング」が、今後米国企業の一トレンドになるのかもしれません。米国内では雇用不安が広がっていますが、米製造業協会らは約60万人の「人材不足」を指摘しています。リショアリングを行う為には、確かな技術を習得させる人材教育が重要なポジションを示す事になるでしょう。
しかし、忘れてはいけません。現代企業経営者にありがちな「なん％上昇した」「なん割削減しろ」の話は、実地的な文化人類学をすこぶる無視した、無味乾燥なメンテナンス手法です。産業や経済の本質は利益にあるのではなく、文化と生命の質の向上と言えます。未来に繋がる技術やシステムを発明?発見する事で、「結果的に」、利益が向上するスタイルが理想的なのです。
「人件費の安い国に進出しよう」――というのは、正直なところ、かなり短絡的な、いわば原始的とも言える文化の名残だと思います。…