対応策は、(1)欧州中央銀行(ECB)が関与しユーロ圏の銀行の監督制度を統一する、(2)欧州安定メカニズム(ESM)から各国の銀行へ直接、資本注入を可能にする、(3)スペインの銀行への支援に限り、民間債権者の資金回収の順位が国際通貨基金(IMF)やESMの後にならないようにする、(4)経済?金融同盟の深化に向け工程表を作る、などである。
特に(2)と(3)は、市場の予想以上に踏み込んだ内容だった。これを受けて29日、7%前後まで上昇していたスペイン10年債利回りは6.3%に低下。世界の株価も大幅に上昇した。
ただし、「どれも方策として間違いはないが、“本当にできるか”が問題」(中空麻奈?BNPパリバ証券投資調査本部長)だ。この疑問故に、市場心理の好転は長続きしないとみられている。
(2)については、現状では欧州金融安定基金(EFSF)あるいはESMから政府がいったん資金を借りて銀行に資本注入する形になるため、政府債務が膨らむという懸念があった。この対応策が実現すれば、金融システム不安から政府債務不安への連鎖を、遮断することができる。だがその前に(1)が成立することが条件とされている。
(1)は2012年末までに検討することとなっており、直接資本注入が可能となるのは最速でも13年からだ。
さらに、監督の対象となる銀行の範囲、直接注入を受ける条件、それを監督することになる当局にどこまで強い権限を持たせるのかなど、検討事項は多い。「その過程で各国の意見対立が表面化する可能性がある」(岸田英樹?野村證券シニアエコノミスト)。
(3)は、スペイン国債利回りの高止まりをもたらしていた投資家の懸念を払拭する。問題は、今後、同国以外に支援を受ける国が出てきた場合の扱いである。同様に適用を求めてくるのは必至だ。そもそもはESMの制度自体の問題であり、根本的に解決するには条約を変えるしかない。「早い段階で方向を打ち出さないと、新たな混乱を呼ぶ」(伊藤さゆり?ニッセイ基礎研究所主任研究員)。
(4)では年末までに工程表を作成するとしている。抜本対策である財政統合へのビジョンを示したという意味では前進だが、数年がかりの話であり、先はまだまだ遠い。
特に困難なのは、銀行支援のような財源が必要な措置について、誰が、どう負担するのかだ。…