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村上春樹が「人生で最も影響を受けた3冊のうちの1冊」と語っているのが、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』。粗野で好色きわまりない父親のフョードル?カラマーゾフとミーチャ、イワン、アリョーシャの3兄弟が妖艶な美女をめぐって葛藤を繰り広げる、ロシア文学不朽の名作だ。
村上春樹の小説の中では、『風の歌を聴け』で鼠が『カラマーゾフの兄弟』を下敷きにしたコミック?バンドの小説を書き、『世界の終りとハードボイルド?ワンダーランド』では「計算士」の「私」が「兄弟の名前をぜんぶ言える人間がいったい世間に何人いるだろう」と名前を思い出し、このほか『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』にも同作は登場。合計4作品に『カラマーゾフの兄弟』は登場する。
これ以外に複数の作品に登場する本は、『戦争と平和』(トルストイ)、『不思議の国のアリス』(ルイス?キャロル)、『失われた時を求めて』(マルセル?プルースト)、『審判』(カフカ)、『三四郎』(夏目漱石)など。中でも『戦争と平和』は、10代の頃の春樹少年が3回も読み返した本なのだそうだ。
◆ケトル VOL.08(8月10日発売/太田出版)