メジャー移籍の準備に余念がなかった…。シアトルマリナーズの『バッテリー組キャンプ』は、メジャー30球団でもっとも早い2月12日にスタートする(現地時間)。日本国内での開幕戦(3月28日?東京ドーム/対アスレチックス)に臨むためだが、『野手組』は18日招集なので、岩隈久志(30)は、イチロー、川崎宗則よりもひと足先に渡米するスケジュールになった。また、この日本開幕の2試合で岩隈が“メジャーデビュー”する可能性はかなり高いという。
「ローテーションの2、3番手に位置づけられていたピネタがヤンキースにトレードされました。3、4番手だった岩隈が繰り上げとなり、日本での開幕2連戦に投げる可能性も同時に高まったというわけです」(米国人メディアの1人)
しかし、岩隈のモチベーションを高めているのは“凱旋登板”だけではなかった。岩隈が交わした『出来高払い』の契約は、異例尽くしと言っていい。
まず、岩隈とマリナーズの契約内容を整理したい。1年契約、年俸150万ドル(約1億2500万円/1ドル=75円換算)。出来高のオプションは最高で340万ドル(約2億5500万円)。楽天での年俸は推定3億円。メジャー挑戦の夢を叶える代償として、年俸は「半分以下」になってしまったわけだ。
また、2010年オフ、ポスティングシステムで交渉が決裂したときのことだ。独占交渉権を獲得したアスレチックスは「合意に至っていないため、詳細は公表できない」としていたが、岩隈サイドとは300万ドルから500万ドルの間で年俸交渉を進めていたという。交渉決裂の理由は「条件(年俸提示)が低すぎたから」だが、結果的にさらに低い年俸額でマリナーズと契約することになってしまった。
「岩隈は2011年、右肩を故障しています。『故障』が彼の評価を落としたというか、それが原因で彼の調査を取りやめたメジャー球団もありました」(前出?米メディア陣)
アスレチックスと交渉が決裂したときは、「金目当て?」「メジャーで実績もないのに…」と米メディアにも叩かれたが、マリナーズの入団会見では好意的な質問ばかりが寄せられた。「アスレチックスの提示額よりも低い年俸」で契約したことで、「彼は純粋にメジャーで頑張ろうとしている」と、悪評が一変したからである。
「代理人を変えたのも良かったと思います。前代理人も岩隈のために奔走していたのは認めますが、現代理人のポール?コブ氏のオフィスは約40人のメジャーリーガーを抱えており、各球団のGM、幹部職員も一目置いています。…