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アラフォーがハマるBL作家?榎田尤利の魅力とは?

『このBLがやばい! 2012年腐女子版』の小説部門で、2年連続の1位に輝いた榎田尤利(えだ?ゆうり)。そんな彼女の人気を支えているのは、アラフォー世代だった!?

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 たとえば、『愛とは言えない』(イラスト:町屋はとこ/リブレ出版)の橘高とサガンや、『恋とは呼べない』(イラスト:町屋はとこ/リブレ出版)の英と淳平のように、恋に臆病になってしまった大人たち。お互いに愛し合っているのにすれ違い、体だけの関係を続けたり他の人と寝てしまったり……。付き合っていた男の婚約者に子供ができ、結婚するからと言って振られた英だったが、彼女と別れたからと言って戻ってきた元彼とあっさりよりを戻してしまう。ダメだとわかっていても、心と身体は相手に向かってしまう。そんなどうしようもなさも、酸いも甘いも経験してきたオトナにこそ、より深く沁みるだろう。

 また、今までの恋愛対象が異性だったいわゆるノンケ同士の恋を描く『普通のひと』(イラスト:木下けい子/大洋図書)は、つい現状維持を望んでしまうアラフォー世代にとってわかりすぎるほどよく理解できる感情なのではないだろうか。普通に生きてきて結婚もした。でも、次に恋をした相手が男だったら……? 

 『はつ恋』(イラスト:小山田あみ/リブレ出版)では、事故が原因で31歳の心をもったまま高校生にタイムスリップしてしまう久我山。そして、高校の時の担任?曽根に恋をする。高校の時はただウザイとしか思わなかった曽根の優しさも、31歳の今だからこそ理解することができる。

 榎田尤利の作品には、アラフォーだからこそ理解できることがたくさん詰まっているのだ。いずれも10代や20代の若い頃には理解できなかった、憂いを秘めている。

 30代も後半になり“大人”になった人たちは、若い頃のように気持ちの赴くまままっすぐには恋できない。そんな思いをBL作品と重ね、相手と自分のことだけでなく、周りや世間体を気にして躊躇する。結婚や出産、仕事に関しても決めなければならない時期を迎えたアラフォー女性たちは、人生の岐路に立っている。そんな彼女たちにとって、榎田尤利の作品に登場する大人な登場人物たちは、まるで今の自分や今までの自分を振り返って見ているかのように共感できるのではないだろうか。

 そんな榎田尤利の短篇集『erotica』(リブレ出版)が8月20日に発売された。カバーを手掛けるのはまさに“エロティック”という言葉がぴったりハマる中村明日美子。…

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