Red Hat は買収する企業をどのようにして決定しているのか?
どのような場合に企業買収を行い、どのような場合に自社開発を行うのがベストなのだろうか?これは、ビジネススクールでは昔から事例研究されているテーマだ。
買収相手がオープンソース企業であれば、この決定はさらに困難なものとなる。なぜならば、その企業の持つ技術はオープンなものなので、買収しても自分のものにはならないからだ。これは、Linux 業界のリーダー 米国 Red Hat が常に取り組んでいる課題でもある。
今週 Red Hat は、ミドルウェア製品を開発する米国 FuseSource の買収を決定した。Red Hat CEO の Jim Whitehurst 氏は、InternetNews.com のインタビューに対して、買収を決定した理由を説明した。
「どんな企業も自分たちの強みを把握しておく必要がある。Red Hat の強みは、オープンソースコミュニティの活性化に長けていることだと、我々は認識している」
FuseSource の技術は、エンタープライズ サービス バス(Enterprise Service Bus:ESB)として知られるもの。Whitehurst 氏が、Red Hat で開発するのは困難だと認めているものだ。Whitehurst 氏は ESB 技術をもつ企業の調査を開始したとき、業界をリードする企業を探すことはしなかった。そうではなく、優れたコミュニティを探したという。ESB 技術の場合、最も優れたコミュニティは、Apache Camel プロジェクトだった。
「自分たちで ESB を開発する場合、必要な人材を確保することは可能だろうか?それとも、多くの優れた人材を持つ企業はあるのだろうか?FuseSource は、Camel コミュニティに10人のコミッターを送り込んでいた。それが決め手となった」
FuseSource は、ESB 分野での唯一の企業というわけではない。Mulesoft や Talend も活発な動きを見せている。だが、これらの企業は Camel のようなコミュニティを持っていなかった。
重要なのは「人材」
Red Hat が買収を実施する場合に、検討する要素はいくつもある。だが、もっとも重要なのは「人材」だ。
「オープンソース企業を買収するとき、もし従業員が Red Hat には来たくないと言いだしたら、我々は何に金を払ったのかわからなくなってしまう。…